「ノング・インレイ」で虫を食べる

高田馬場ミャンマー料理店「ノング・インレイ」で昆虫食をしてきました。(写真あり)

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これはクッション用のココナッツ麺。

 

お店に入ると壁に「今日のおすすめ」と題されて虫の名前がズラッと書かれた紙など貼ってあるので、やっぱり虫を求めてくるお客さんが多いんでしょうか。

今回は「竹蟲」「コオロギ」「セミ」の3種類の揚げ物を頼みました。お値段はどれも一皿900円。

まず竹蟲。なんで難しい方の蟲なんだろう……

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ちんまい脚がしっかり残ってます。カワイイ。

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形状も相まってスカスカのかっぱえびせんみたいな食感でした。肉感ゼロ。
塩と油のシンプルな味付けで後味がちょっと鶏皮っぽい。正直無限に食べられる。袋詰めにして売ってほしい。

 

次にコオロギ。

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思ったより大きい。

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やっぱり肉感ゼロ。味といい食感といいソフトクラブの唐揚げとかを思い出す。昆虫も甲殻類も同じ節足動物の仲間なんだなあ……
見た目のそのまんま感を乗り越えられればバリバリ癖なくいけます。ちょっと触覚が歯に挟まった。

 

最後にセミ。

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思ったより小さい。

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もはやパリパリ殻を食べる感じ。無心でいける。後味がちょっと不思議。

あとカエル肉の炒め物も注文しました。
柔らかめの鶏肉みたい。骨つきでした。

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ちなみに豊富なメニューの中の8割くらいは特に虫とは関係ないミャンマー料理だったのであんまりイロモノっぽくないものもいくつか注文しました。お茶の葉のサラダとココナッツ麺が美味しかったです。
カエルの姿揚げとか鯰カレーとか気になるものが他にも色々あったのでまた行きたいな……

 

「ノング・インレイ」HP

http://nong-inlay.com/

 

 

『パシフィック・リム アップライジング』の感想について人に聞き流してもらいたい

  ほんとは飯代私持ちで居酒屋とかでぐだぐだ呻いてそれを人に聞き流してもらうのがベストなんですけど、なにぶんそういう機会が持てないのでここで。
   ざっくり言うと私が『パシフィック・リム アップライジング』(以下パシリムUR)のことをめちゃくちゃに好きだって話です。聞き流してください。

  ネタバレにネタバレを重ねてネタバレで塗り固めたような内容だし聞き流される用なので支離滅裂だし前半は前作との思い出話です。

 

   2013年の映画『パシフィック・リム』(以下パシリム)のことが大好きだ。公開当時まだ高校生だったのだが人生で初めて3回も同じこと映画を劇場で観た。当時の猛者は8回とか10回とかもっと行ってたらしいけど当時の自分にしてみれば3回でも相当な熱狂具合だった。
   多分これを読んでいる時点でパシリムに対してなんらかの感情がある方だろうから説明は省くがまあ要するに巨大ロボットと巨大怪獣が殴り合う映画だ。特撮オタクによる特撮オタクのための映画、みたいな触れ込みが当時ツイッターとかで回っていた。私自身もライトな特撮オタクだと思う。父の影響で日曜朝はスーパーヒーロータイムが必ず流れているような家で育った。初めてパシリムを観た日も仮面ライダーウィザードの劇場版を見るついでみたいなつもりで行った。その結果上映開始時刻を間違えて遅れて劇場に潜り込む羽目になった。
   暗闇の中で席は探せないしもう上映始まってるしで仕方なく後方の壁側に立って観たあの雪の中に崩れ落ちるジプシー・デンジャー、そして香港の夜の街をタンカーを引きずって歩く姿とあのBGM、衝撃的なほどにカッコよくて、笑ってしまうくらいに私好みだった。観終わった瞬間から脳内に住んでいる小2男子が「すごい、かっけえ、もう一回観に行こうぜ」とソファーの上で飛び跳ねていた。その時までの短い人生の中で最強の映画体験だった。その後も面白い映画は色々観たけど、パシリムは5年間ずっと「私の1番好きな映画」に君臨し続けた。
初めて予約してDVDを買ったのもパシリムだ。未だに部屋には予約特典のイエーガーのポスターが貼ってある。当時既に次回作の構想があるなんて話が確か出ていて、私が映画館で映画を観てDVDを買った金の幾らかが最高の映画の続編になるんだと思うと本当にワクワクした。
   次回作の話を初めて聞いたときは「待ちきれない」と思った。純粋に楽しみで楽しみでしょうがなかった。けれど監督が変わるとか、延期になるとか、不安なことが色々あって、私も他のたくさんのものに夢中になったりして、そのうちに、あっさりと5年後がやってきた。

 

  「ついに」という気持ちがあった。待ち侘びた、という気持ちでもあったし、来てしまったのか、という気持ちでもあった。正直言って不安だった。5年待った。最高の映画を5年待った。もし続編を私が愛せなかったら?私の最高の映画への愛にちっとも太刀打ちできない映画だったらと思うと不安でしょうがなかった。不安になりながら公開日の19時からの回のチケットを買った。入場待ちをしている間は大学の合格発表を見るよりも緊張していた。大学には滑り止めがあるがパシリムに滑り止めは無い。
   舞い上がりすぎて誰よりも先に上映シアターに入ってしまった。そこから流れる予告編は、今まで見たどの映画のそれよりも長く感じた(多分実際に長くはあった。そんな開場直後にシアターに入ったのは初めてだったので)。

 

   パシリムURは、最高だった。

 

    冒頭のカイジュウのの巨骨が横たわる豪邸からして好きだ。パシリムの、カイジュウの頭蓋で寺を作るような、カイジュウに良くも悪くも慣れきってしまった麻痺の感性が好きなのだ。というかシンプルにカイジュウとの戦いの後の社会が垣間見えて楽しい。廃イエーガーの部品を盗んで売る?まるで10年前にカイジュウを切り売りしていたみたいに?最高。この世界の人間は使えるものをなんでも使って強かに生きている。
    スクラッパーも良い。手作りとはいえぱっと見ちょっとダッサいけど、これが動くとコロコロすばしっこくて見てて楽しい。それからそれを追いかけるイエーガーの動き!拳の関節部分からワイヤー射出!スクラッパーをコツコツ突く指の動きで「この映画は大丈夫だ」と確信した。この映画は私に、脳内に住む小2男子をもう一度熱狂させるような最高のロボットを見せてくれると思った。
    もちろんジェイクとアマーラも好きだ。ジェイクの自称イケメン芸も、「親父と俺は違う」という悲しいが賢い割り切りも、悲しい過去を負って一人で奮闘するけどそれはそれとしてお前オタクだろ?と言いたくなるような一面がチラッチラチラッチラするアマーラも好きだ。勝気な女の子、サイコー。
    前作キャストが重要な位置に残ってくれたのも嬉しい。マコが偉くなってて嬉しい。反面ローリーやハークやテンドーは??どうしたの???という気持ちになってしまうからそこは本当に本当に残念ですが。消息だけでも聞きたかった……
     新キャラもね、もちろん良いよね、ヴィクがね、ヴィクサイコーだよね。大きい方が良いよね、みたいな気持ちで見守ってしまうというか、個人的にこういう子が報われてほしい!!と思ってしまうので。アマーラとの関係性が本当にもう。次があるなら是非掘り下げて。
    掘り下げで言うならネイサンとジェイクの話ももっと聞きたかった。なんだよ仲良しなんじゃん!心配させんな!!
      ニュートのあれこれについては正直言って「だ、妥当〜〜!!」みたいな気持ちだった。アリスちゃんで笑わないの無理でしょ。納得感ある。個人的にはハーマンが内臓いじりしてることの方が気になった。人手足りないの?それともニュートとブレイン・ハンドシェイクして趣味が変わった? 2人が仲良しっぽいの良かったけど、ハーマンのあれから友達増えてなさそう感がすごい。
     それからさ〜〜!!イエーガーだよ!!正直ポスター見てるときは若干どうかと思ってたけど!!主にセイバー・アテナのポーズのせいだけど!!!動いたらカッコいいじゃんセイバー・アテナ!!回転斬りみたいな動きするとこ最高。今回全体的に細身の機体が増えてる気がした。カッコいい。全機体活躍の機会があったしね。
    いやでももう今回好きな機体で言ったらブレイザー・フェニックスの一強ですよ。あれはあかん。前作でも1番好きな機体は3人乗りのクリムゾン・タイフーンで三本腕に単眼のビジュアルとかマジサイコーだぜと思ってたんですけどいやー超えたね。三本腕超えたね。だって射手用コックピットが180°回転するんですよ!?ちょーカッコいい。天才の発想。脳内小2男子大喜び。
     オブシディアン・フューリーも敵機ながら捨てがたい。シュッとしたフォルムとカラーリングもさることながら、もう「カイジュウの脳で動く」って、いや、ほんと、いい趣味してる。ナマモノと機械の合体っていいよね。そういう意味では量産無人機の暴走形態とかもう最高も最高ですよ。あたかもカイジュウが機械の装甲をまとっているかのようなフォルム。いやー良い。本当にいい趣味してる。クール極まりない。
     カイジュウで言うなら本当にあの、小型のカイジュウがぞわぞわ出現して、それによって3体のカイジュウを結合して一体の超巨大カイジュウにするとか、マジで、いや本当に興奮しすぎて死ぬかと思った。私が小さい生き物の群れ(サーディンボールとか越冬するテントウムシとか)がめちゃめちゃ好きだからかもしれないけど。
    あと戦闘が明るいの良かった。前作は「海底……暗いなあ……」って見るたびに思ってたので。ニチアサ育ちなので巨大ロボの戦闘が明るいとなんか安心する。単純に見やすいし。
     ストーリー構成も私は好きだ。継承とは同一になることではない。違っていい。というか同じにはなれない。そういう映画だったし、パシリムUR自体もたしかに「デルトロのパシリム」ではなかったけれど、でも「デナイトのパシリム」も最高だ。イエーガーに向かって跳ぶアマーラ、それを掬い上げる手が、一緒に私のパシリムに対する感情も受け止めてくれた。
   

  気になるところもあるにはある。ローリーたちどうした、とか別に富士山でなくても良くね?とか、ていうか富士山と東京近くね?とか。最後のは笑いどころかも知らんけど。

   なんか前作のファンで今作はがっかりって人も結構いるらしいが、私は私の最高の映画の最高の続編をめちゃめちゃに愛することができて本当に幸せだ。多分また2度も3度も観に行くだろう。また最高の続編をよろしく頼む。

 

追記

テーマ曲の話を忘れてた! Go Big Or Go Extinct のリメイク、あれ、流すタイミング最高。あとトレーラーについてた謎のBGMあったじゃないですか、あれ流れてなかったですよね? あれのせいで結構不安だったようなところあるんですけど。

 

『シェイプ・オブ・ウォーター』を観て「観てよかったな」とは思ったけど感動で泣く映画じゃなくない?と思った人間の感想(そしてストリックランドの話)

上から下までみっしりネタバレだらけです。



前々から見たかった『シェイプ・オブ・ウォーター』を観てきた。ネタバレは極力遮断して観る派なので「主人公は耳が聴こえなくて半魚人的なものと恋をする」「ギレルモ・デル・トロが監督でアカデミーを獲った」「知人が何人か観に行って結構泣いたらしい」「美女と野獣がうんたらかんたらでナントカ言ってる人が何人かいる」ぐらいのざっくりとした情報だけ持って行った。デル・トロ監督についても『パシフィック・リム』は大好きだけどあとは『パンズ・ラビリンス』ぐらいしか観てないので特に詳しいとかではない。

一緒に観に行った友人も大体似たようなものだった。


観終わった直後の第一声。

友人「パンズ・ラビリンスじゃん」

私「パンズ・ラビリンスだったね」


パンズ・ラビリンス』だった。

そっちを観てない人向けにどういうところが『パンズ・ラビリンス』なのかを説明しようとすると壮絶なネタバレになるのでまあ観てくださいとしか言えないが、だいたい半分くらいの人が「たしかに」と言ってくれそうだし残りの半分には「どこがだよ!」と言われそうだ。





ともあれ、めちゃくちゃに泣かされると思って行ったらさっぱり泣けずに帰ってきた私たちは近くのうどん屋で昼食がてらディスカッションを開始した。

まず一致した意見としては、「面白い映画だった」「観て良かった」「冒頭の水没する部屋のシーンの美しさは尋常でなかった」「でも泣くタイプの映画じゃなかったな」。

多分この映画を泣ける純愛ラブロマンスとして観る層もいるし、そうでない楽しみ方をする層もいて、私たちは後者だったのだろうと思うし、多分私にとってこの映画は「人間って色々じゃん」という映画だったのだと思う。愛とか種族の超越とかあまり関係なく。



主人公のイライザは作中で自分を孤独だというけど、わりと人生彼女なりに楽しんでそうな感じがしたし、彼女の周りにいる人も優しそうだ。いや別に人生の楽しみと孤独はまた別の話だし、もっと言うと周囲の人の優しさと自分が感じる孤独も別の話なのかもしれないけど。でもジャイルズとゼルダという良い友人がいて、階下の映画館の人も結構親切そう。確かに耳の聴こえない掃除係の女性という立場で嫌な思いをさせられる時もあったけど、でも「孤独」「疎外」「差別」みたいな言葉で一元的にまとめることはできないかな、とは思う。彼女も一人の人間で、その人生は楽しいことも嫌なこともある。単なるテンプレに押し込まれない人物像はこの映画が絶賛される一因だろう。


悪役であるストリックランドも、テンプレには押し込まれない。私が泣けなかったのは、彼に感情移入しすぎたせいだとも思う。彼は現代のPC的観点から見ると完全にアウトで普通に嫌な奴だ。けれど一方で家庭では良い父良い夫らしく妻や子との関係は良好に見える。(ここでストリックランドの家庭が冷え切ったそれとして描かれてもおかしくないのに、そうでない普通の幸せそうな家庭にしたのは偉いな監督、と思う)

キャデラック破壊のくだりは爆笑ものだが、「成功したアメリカ人が乗るもの」として買われるキャデラック、という描写と壊れた後も意地のように使われ続けるそれの事を考えるとちょっと泣けてくるような気もする。むしろストリックランドのためなら泣けるかもしれない……

彼のアイデンティティは「アメリカンであること」「まともであること」、そしてこの2つはしばしば一体になる。アメリカンであることにはキリスト教的であることも多分含まれているだろう。自分のことサムソンに例えるしね。黒く化膿しても縫い付けられたままの指や元帥との「まともな男」についての会話もそうだが、個人的に彼のキャラ造形の精巧さを思わせる発言だと思ったのが以下の2つの台詞である。(と言いつつも細部はうろ覚えなのでご指摘あったら修正します)


①「神とは私のような姿をしている」

強い。自分が世界のメインストリームにいると信じて疑わない奴の口からでなければこんな言葉は出ない。その後にご丁寧にゼルダと比較して「私の方が近い」と付け加える。現代ならさぞかしよく燃えるだろう。ただし、アメリカ的価値観においてまともであることにアイデンティティを置くストリックランドのキャラを鑑みるとパーフェクトだ。


②「信じろ、ここはアメリカだ」

これは自分の子供に「未来では1人で空を飛べるの?」と尋ねられての返答だ。アメリカに対する彼のポジティブなイメージ、あるいはポジティブであろうとする姿勢の表れであるように思える。あとこれは流石に私のひいき目かもしれないけど子どものもしも話に付き合ってあげるのいい親父じゃない?


まあぐだぐだと書いたけど要するにストリックランドはやな奴だが彼なりに彼の生活とか考えることとかがあるというわけで、それで叙情酌量の余地があるとか言いたいのではないのだけれど彼も絶対悪ではなく色々いる人間の1人に過ぎないのだ。

人間には色々いて、みんな楽しいこととか苦しいこととかあるし、愛する相手も色々で、それが金髪美女だったりパイ屋のイケメンだったり南米から来た不思議な生き物だったりするし上手くいったり上手くいかなかったり、『シェイプ・オブ・ウォーター』はそういう映画だと私は思うことにした。本当に良い映画だった。


これからパンフレットを読み込んだり小説版を買ったり監督インタビューとか漁ったりしたらまた変わってくるかもしれないけど、とりあえず外側の文脈を見ずに映画単体として見た感想としてはこんな感じです。ストリックランドの今後を心配しながらなら泣けるかもしれない。



追記というかまとまりきらなかったこと

①不思議な生き物さんは南米で神さまと崇められていたらしい。アメリカから見てメインストリームなストリックランドからすれば周縁で異教な不思議な生き物さんはそりゃー受けいれられないわとは思う。


②ジャイルズが一度イライザの「彼を助けたい」という訴えを拒否し、そして戻ってくるシーン。ジャイルズはその間に期待を2度も裏切られ、ある種世間への幻滅を覚えて帰ってくるわけだが、イライザはそのことを知る由もない。私はポジティブに「相手のことを全て知らなくたって上手くやっていける」みたいな感じで受け止めたい。

あとイライザは結構色んな人を巻き込んでいるけど、個人的には自分の恋のためには手段を選ばないタイプのヒロイン大好きなのでオールオッケーです。


③イライザと不思議な生き物さんのラブシーンがあった時点で「これはイライザの不思議生物ベビー出産シーンあるわ!」と確信したのですが特にそのようなことはなかった。