『パシフィック・リム アップライジング』の感想について人に聞き流してもらいたい

  ほんとは飯代私持ちで居酒屋とかでぐだぐだ呻いてそれを人に聞き流してもらうのがベストなんですけど、なにぶんそういう機会が持てないのでここで。
   ざっくり言うと私が『パシフィック・リム アップライジング』(以下パシリムUR)のことをめちゃくちゃに好きだって話です。聞き流してください。

  ネタバレにネタバレを重ねてネタバレで塗り固めたような内容だし聞き流される用なので支離滅裂だし前半は前作との思い出話です。

 

   2013年の映画『パシフィック・リム』(以下パシリム)のことが大好きだ。公開当時まだ高校生だったのだが人生で初めて3回も同じこと映画を劇場で観た。当時の猛者は8回とか10回とかもっと行ってたらしいけど当時の自分にしてみれば3回でも相当な熱狂具合だった。
   多分これを読んでいる時点でパシリムに対してなんらかの感情がある方だろうから説明は省くがまあ要するに巨大ロボットと巨大怪獣が殴り合う映画だ。特撮オタクによる特撮オタクのための映画、みたいな触れ込みが当時ツイッターとかで回っていた。私自身もライトな特撮オタクだと思う。父の影響で日曜朝はスーパーヒーロータイムが必ず流れているような家で育った。初めてパシリムを観た日も仮面ライダーウィザードの劇場版を見るついでみたいなつもりで行った。その結果上映開始時刻を間違えて遅れて劇場に潜り込む羽目になった。
   暗闇の中で席は探せないしもう上映始まってるしで仕方なく後方の壁側に立って観たあの雪の中に崩れ落ちるジプシー・デンジャー、そして香港の夜の街をタンカーを引きずって歩く姿とあのBGM、衝撃的なほどにカッコよくて、笑ってしまうくらいに私好みだった。観終わった瞬間から脳内に住んでいる小2男子が「すごい、かっけえ、もう一回観に行こうぜ」とソファーの上で飛び跳ねていた。その時までの短い人生の中で最強の映画体験だった。その後も面白い映画は色々観たけど、パシリムは5年間ずっと「私の1番好きな映画」に君臨し続けた。
初めて予約してDVDを買ったのもパシリムだ。未だに部屋には予約特典のイエーガーのポスターが貼ってある。当時既に次回作の構想があるなんて話が確か出ていて、私が映画館で映画を観てDVDを買った金の幾らかが最高の映画の続編になるんだと思うと本当にワクワクした。
   次回作の話を初めて聞いたときは「待ちきれない」と思った。純粋に楽しみで楽しみでしょうがなかった。けれど監督が変わるとか、延期になるとか、不安なことが色々あって、私も他のたくさんのものに夢中になったりして、そのうちに、あっさりと5年後がやってきた。

 

  「ついに」という気持ちがあった。待ち侘びた、という気持ちでもあったし、来てしまったのか、という気持ちでもあった。正直言って不安だった。5年待った。最高の映画を5年待った。もし続編を私が愛せなかったら?私の最高の映画への愛にちっとも太刀打ちできない映画だったらと思うと不安でしょうがなかった。不安になりながら公開日の19時からの回のチケットを買った。入場待ちをしている間は大学の合格発表を見るよりも緊張していた。大学には滑り止めがあるがパシリムに滑り止めは無い。
   舞い上がりすぎて誰よりも先に上映シアターに入ってしまった。そこから流れる予告編は、今まで見たどの映画のそれよりも長く感じた(多分実際に長くはあった。そんな開場直後にシアターに入ったのは初めてだったので)。

 

   パシリムURは、最高だった。

 

    冒頭のカイジュウのの巨骨が横たわる豪邸からして好きだ。パシリムの、カイジュウの頭蓋で寺を作るような、カイジュウに良くも悪くも慣れきってしまった麻痺の感性が好きなのだ。というかシンプルにカイジュウとの戦いの後の社会が垣間見えて楽しい。廃イエーガーの部品を盗んで売る?まるで10年前にカイジュウを切り売りしていたみたいに?最高。この世界の人間は使えるものをなんでも使って強かに生きている。
    スクラッパーも良い。手作りとはいえぱっと見ちょっとダッサいけど、これが動くとコロコロすばしっこくて見てて楽しい。それからそれを追いかけるイエーガーの動き!拳の関節部分からワイヤー射出!スクラッパーをコツコツ突く指の動きで「この映画は大丈夫だ」と確信した。この映画は私に、脳内に住む小2男子をもう一度熱狂させるような最高のロボットを見せてくれると思った。
    もちろんジェイクとアマーラも好きだ。ジェイクの自称イケメン芸も、「親父と俺は違う」という悲しいが賢い割り切りも、悲しい過去を負って一人で奮闘するけどそれはそれとしてお前オタクだろ?と言いたくなるような一面がチラッチラチラッチラするアマーラも好きだ。勝気な女の子、サイコー。
    前作キャストが重要な位置に残ってくれたのも嬉しい。マコが偉くなってて嬉しい。反面ローリーやハークやテンドーは??どうしたの???という気持ちになってしまうからそこは本当に本当に残念ですが。消息だけでも聞きたかった……
     新キャラもね、もちろん良いよね、ヴィクがね、ヴィクサイコーだよね。大きい方が良いよね、みたいな気持ちで見守ってしまうというか、個人的にこういう子が報われてほしい!!と思ってしまうので。アマーラとの関係性が本当にもう。次があるなら是非掘り下げて。
    掘り下げで言うならネイサンとジェイクの話ももっと聞きたかった。なんだよ仲良しなんじゃん!心配させんな!!
      ニュートのあれこれについては正直言って「だ、妥当〜〜!!」みたいな気持ちだった。アリスちゃんで笑わないの無理でしょ。納得感ある。個人的にはハーマンが内臓いじりしてることの方が気になった。人手足りないの?それともニュートとブレイン・ハンドシェイクして趣味が変わった? 2人が仲良しっぽいの良かったけど、ハーマンのあれから友達増えてなさそう感がすごい。
     それからさ〜〜!!イエーガーだよ!!正直ポスター見てるときは若干どうかと思ってたけど!!主にセイバー・アテナのポーズのせいだけど!!!動いたらカッコいいじゃんセイバー・アテナ!!回転斬りみたいな動きするとこ最高。今回全体的に細身の機体が増えてる気がした。カッコいい。全機体活躍の機会があったしね。
    いやでももう今回好きな機体で言ったらブレイザー・フェニックスの一強ですよ。あれはあかん。前作でも1番好きな機体は3人乗りのクリムゾン・タイフーンで三本腕に単眼のビジュアルとかマジサイコーだぜと思ってたんですけどいやー超えたね。三本腕超えたね。だって射手用コックピットが180°回転するんですよ!?ちょーカッコいい。天才の発想。脳内小2男子大喜び。
     オブシディアン・フューリーも敵機ながら捨てがたい。シュッとしたフォルムとカラーリングもさることながら、もう「カイジュウの脳で動く」って、いや、ほんと、いい趣味してる。ナマモノと機械の合体っていいよね。そういう意味では量産無人機の暴走形態とかもう最高も最高ですよ。あたかもカイジュウが機械の装甲をまとっているかのようなフォルム。いやー良い。本当にいい趣味してる。クール極まりない。
     カイジュウで言うなら本当にあの、小型のカイジュウがぞわぞわ出現して、それによって3体のカイジュウを結合して一体の超巨大カイジュウにするとか、マジで、いや本当に興奮しすぎて死ぬかと思った。私が小さい生き物の群れ(サーディンボールとか越冬するテントウムシとか)がめちゃめちゃ好きだからかもしれないけど。
    あと戦闘が明るいの良かった。前作は「海底……暗いなあ……」って見るたびに思ってたので。ニチアサ育ちなので巨大ロボの戦闘が明るいとなんか安心する。単純に見やすいし。
     ストーリー構成も私は好きだ。継承とは同一になることではない。違っていい。というか同じにはなれない。そういう映画だったし、パシリムUR自体もたしかに「デルトロのパシリム」ではなかったけれど、でも「デナイトのパシリム」も最高だ。イエーガーに向かって跳ぶアマーラ、それを掬い上げる手が、一緒に私のパシリムに対する感情も受け止めてくれた。
   

  気になるところもあるにはある。ローリーたちどうした、とか別に富士山でなくても良くね?とか、ていうか富士山と東京近くね?とか。最後のは笑いどころかも知らんけど。

   なんか前作のファンで今作はがっかりって人も結構いるらしいが、私は私の最高の映画の最高の続編をめちゃめちゃに愛することができて本当に幸せだ。多分また2度も3度も観に行くだろう。また最高の続編をよろしく頼む。

 

追記

テーマ曲の話を忘れてた! Go Big Or Go Extinct のリメイク、あれ、流すタイミング最高。あとトレーラーについてた謎のBGMあったじゃないですか、あれ流れてなかったですよね? あれのせいで結構不安だったようなところあるんですけど。